その他の治療
顕微孵化法:AHA(assisted hatching)
顕微孵化法は孵化を助ける目的で行います。胚(受精卵)の外側には透明帯という厚い膜が存在します。胚が子宮内膜に着床するには透明帯が破れて中の細胞が外に出なければなりません。顕微孵化法は、移植の直前の胚に顕微鏡を使用して透明帯に切れ目を入れ、孵化しやすいようにします。当院で行っているクラッキング(cracking)法は、細いガラスのフック(鉤)を二本用いて透明帯に切れ目を入れるオリジナルの方法です。他施設で行っているレーザー法や薬液を用いての方法と比較し胚に対してのダメージがほとんど無いのが特徴です。
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顕微孵化法1
【3日目胚移植と5日目胚移植の違いについて】
自然妊娠の場合、卵管膨大部で受精した受精卵は卵管の中を発育(分割)しながら、卵管内を子宮に向かって進み、やがて胚盤胞に成長して子宮に到着します。この間『約1週間』と言われています。
3日目胚移植は8細胞期前後の受精卵を移植します。本来、卵管内にあるべき時期の受精卵を子宮に移植するため、移植した受精卵は2日程度子宮内で発育し、胚盤胞に発育したものが着床します。
5日目胚移植は、胚盤胞を移植する方法で、より自然に近い方法と言えます。しかし、受精卵を5日間体外で培養することは、技術・設備・知識が必要になり、簡単なことではありません。一般に受精卵は全て胚盤胞(5日目の受精卵)になる訳ではなく、平均で30%しか発育しません(発育状況には個人差があります)。当院では、受精状況・分割状況を胚培養士と相談しながら治療の選択を行うことができます。
▲3日目移植胚(8細胞期)
▲5日目移植胚(胚盤胞)
【当院における分割卵の評価】
当院では、分割の均等性を見る「グレード(G)」とフラグメント(f)の割合を総合的に判断しております。この方法は「オーストラリア」方式と言われています。
▲受精卵の評価